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資金繰り安定ツール 短期継続融資の活用法と注意点

資金繰り安定ツール 短期継続融資の活用法と注意点

※このコラムは「三井住友カードBiz」2024年6月号に掲載されます。


事業体の成長や継続には資金繰りの安定は必要不可欠です。
資金繰り安定のツールとして金融庁も促進している短期継続融資があります。
今回は資金繰りの安定に寄与する短期継続融資の活用方法と金融機関への融資相談時の注意点をご紹介いたします。


■短期継続融資の活用方法

事業体の資金繰りを考える上で金融機関融資は切っても切り離せません。
今回ご紹介する短期継続融資は売上金の回収サイトが仕入代金の支払サイトより長い場合など、売上代金が手元に入る前の支払いに充てられる融資となります。
この短期継続融資の返済については売上金の回収代金が返済原資となりますが、事業活動を行っていく上では、仕入代金の支払→売上金の回収→回収した売上金を原資に仕入代金の支払…と、事業が継続する限り売上代金で仕入代金や固定費の支払いを行っていくことにより、返済を行う原資がなくなるため、理論上、運転資金の返済は事業廃止時となります。
よって、短期継続融資は事業を継続する限り返済する必要はなく、利息の支払いのみで延長し続けることができます。
企業が成長拡大する中では売上金額が大きくなっていくと仕入金額も大きくなります。仕入金額の決済額が大きくなる分、資金繰りに与える影響も大きくなるケースがあります。
事業体が成長拡大していく上では短期継続融資の活用が必要不可欠となります。


■金融機関へ相談する際の注意点

(1)決算が黒字のタイミングのほうが融資を受けやすい

短期継続融資は売上代金を原資に返済を行う融資なので、金融機関側からすると回収可能性が高い融資です。
ただし、赤字企業への短期継続融資は赤字により減少する資金の補填に充てられてしまい回収可能性が損なわれる恐れがあるため、黒字決算を計上しているタイミングで金融機関へ相談してみるとよいでしょう。


(2)金融機関によって温度差がある

数年前から金融庁から促進されている短期継続融資ですが、金融機関によって融資に温度差があります。
金融機関の方針で積極的な提案がない場合もあるので、事業者側から金融機関へ短期継続融資の提案を行なっていただけないか、相談してみるとよいでしょう。


(3)メインバンクへ相談する
ここでいうメインバンクは借入残高が大きい金融機関ではありません。借入残高が多くても信用保証協会付き融資しか行ってくれない金融機関は、メインバンクとは言えないのではないでしょうか。
企業の業績が厳しい時でも聞いてくれる金融機関など、自社のことを考えてくれる金融機関に依頼しましょう。


(4)売上債権や棚卸資産の内訳について情報開示を行う

短期継続融資の最終返済原資は売上債権や棚卸資産となります。
その返済原資となる資産が不良債権や不良在庫・架空在庫だと回収可能性が疑われてしまいます。
金融機関に安心して融資してもらうため、売上債権や棚卸資産の情報開示と説明が有効です。
売上債権、棚卸資産別にチェックポイントをまとめました。


□売上債権
・得意先ごとの入金サイクル開示
・売上債権の内訳開示
・同業他社と比べて売上債権が多くないか。
・同業他社と比べて売上債権回転率(売上高÷売上債権)が低くないか。


□棚卸資産
・在庫の内訳開示
・実際の在庫の状況を目で確認してもらう
・一定期間ごとの在庫表開示


いかがでしょうか?短期継続融資を受けるためには金融機関との関係性構築が大切になります。
金融機関との関係性を深めるには、金融機関担当者との密なコミュニケーションや金融機関が評価する決算書づくりや今後の事業ビジョンを共有するなどが必要です。当記事が皆様の資金繰り改善の一助となれば幸いです。


米本合同税理士法人では金融機関への交渉等、顧問先様の資金繰り改善支援も積極的に行っております。資金繰り以外の御相談でも対応可能ですので、一度面談だけでも行なってみたい方は初回面談無料ですのでご遠慮なくお申し付け下さい。


税理士 浪岡 拓馬

 

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